打ち合わせのために都内。
地下鉄を出て、風が今日も強く吹いてる中、寒いし、かなり早めに歩いて事務所まで向かう。
予定時間よりもだいぶ早いので・・・「こんな急ぐこともないんだよな~」
僕は目を通して色々なものをいち早く’感じる’事も好き。
カメラを自分の手に持つことによって、目線が変わるのが面白い。
そこで最初に目に飛び込んできたのは石垣の間。
新しい葉が石垣の間で生まれてる。恐れ入りました。
春じゃん・・・・・。
さっきまで冬の延長を過ごしていた僕は一気に春目線。すると寒さも忘れる。
梅の花も咲こうとしている・・・いや、もう咲き始めてる。
香りもすごくいい。
昔、・・・
って、僕にとっての昔ではなく、もっと昔、平安の頃、 僕の好きな
在原業平君の友達の、紀 貫之さんが
『人はいさ 心も知らずふるさとは 梅ぞ昔の香り匂いける』 (意訳)
人の心は移り変わりやすいけれども、この梅だけは昔から不変の香りだね・・・
なんて事を言ってのけたのが良くわかる。
僕だって、仕事も色々変わって、付き合う仲間も変わって、思考も変化していくけれども、この匂いだけは変わらずにいてくれて、この梅の香りで「春・・・なんだね」と何度気付かされていたことか。
だから僕は高校生の頃、この歌を知って、桜よりも梅に対する思いが強くなった。
そんな気持ちで周りを見回せば、
椿だって咲こうとしてるじゃん。
いま「つばき」って言えば、資生堂「TUBAKI」を思い出しちゃう僕。
反省。
東京ミッドタウンは相変わらず観光スポットにもなってるけれど、
それを背に、梅はこのミッドタウンが出来る前から毎年変わらずに、
春が近づけば花を咲かせて告げてくれてるのだろう。
おそらくは、僕の先輩にあたる梅です。
でも、僕がいる時、誰も見てなかった。それでもきっと、今日この梅で、
ひそかに春を感じた人が、何人かはいるんだろうな。
帰りには、もう咲いてる椿も乃木神社で発見。
春に気付かなかった僕が、なんとも恥ずかしい限り・・・。
でも、春といえば、頭の中が春で不思議になっちゃう人にとってもHARU!!!
不思議な光景、

不思議な人。
車を路肩に停めて、一生懸命トランクから靴を出しては履き替えてる。
って、おい、トランクがもうトランクじゃなくなっちゃってる!!
そこは押入れのよう。
色々な靴を出しては、履き心地を試してる。
この高級車のトランクは彼にとって、靴箱でもあり、クローゼットにもなってるみたい・・・。
満足した一足が見つかって、それで運転席に戻り、車は走り去っていった。
このおじさんも春なんだね。
きっと春に気付いて、春用の靴に履き替えてたんだろう。
打ち合わせの帰り、さっきの梅は、もっと明るい中で咲いてた。
・
(注)ちなみに、紀貫之さんは、もっとホントは意味あります。
あの歌を、どんな時、どんな状況で、どんな環境の人が詠んだのかによって、言葉は本当の姿、その意味を変えます。
別れてしまった彼女に対しての皮肉も入ってるんだよねぇ~。
そして梅の香りで、ラブラブだった昔も思い出すし、でも淋しいし、梅にもすがりたい気持ちだったんよ。
なんてったって、その時、紀貫之さんんは失恋中・・・。
そして、まったく逆にのことを言ってのけ、同じ意味を在原業平君は表現。
『月やあらぬ、春や昔の春ならぬ わが身ひとつは元の身して』
月も春も、毎晩、毎年新たに訪れて新しくなっているのに、僕だけは変わってないよ・・・トホホ・・・
春も月も、つまり元カノも、新しい時間を過ごしてるのに、僕は引きずちゃって、まだおんなじところにいるよ・・・なんて意味。
そして僕は今日、梅だけでなく、月も味わいました。
方や、周りは変わらず、僕は変わってしまった・・・淋しいな~
方や、周りは変わっているのに、僕だけは変わってない・・・淋しいな~
同じ失恋でも、感じ方の違いで表現がまったく逆。
そこが言葉の面白いところでもある。