« 2005、今年の一枚は! | トップページ | 根底で平等なのは »

2005/11/22

どんなサンタクロースになりたい?

asayake002 昨夜、仕事が終わってから、常に気になってた映画『ALWAYS 3丁目の夕日』を味わいに、ワーナーマイカルシネマまで寄り道。そうそう、映画のホームページをクリックしてから読んでいただくと、雰囲気が音楽で伝わりやすいかも。

さて、ラージサイズのポップコーンとペプシ。準備は完了。昭和30年代、僕の親が子供の頃を味わうことをメインに考えていたんだけどなー。

この作品、東宝の制作なんだけど、映画が始まるや、いきなり昭和30年代に観客を引っ張る演出に脱帽。あの見慣れた東宝のマークが、いつものではなく、その時代のTOHO SCOPEのロゴマーク。ロゴ映像も当時の荒い感じ。そこから映画がスタートするから、観客席も昭和30年代に自然となる。コレを許可した東宝に拍手。

思えば、東宝に務めていた弟と、けんかがしょっちゅうだったけど、彼が生きていれば、これは褒めてやりたかったな。去年の夏、その前に、この映画やっていたら・・・。

そんなことを考えたら、自然とボクも子供時代を思い出してる。たしかにボクが生まれたのはそこから15年後くらいだけど、あの子供たちで遊んだ感覚が蘇ってくる。

映画としてのストーリーは、僕から言わせれば、ないも同然。ストーリーというより、映画としての展開がない。でも、それがいい。それだからこそ、この映画は魅力的。誰かが中心のストーリーではなく、生きてる限り、一人一人にストーリーがある。それが噛み合って、夕日町3丁目の空間の日常となる。タイトルに納得。

その町の空間と時間、それを素晴らしい脚本力で、そっと切り取ってあるかんじ。だからストーリーは日常の小さなストーリーがいくつも描かれてる。でも素晴らしい。だから何回も涙がそっと出てくる。ここで、文字で説明できるような展開ではないんですよ。ハリウッドの王道のまったく逆。イギリス映画ともまったく違う。じゃあ、どんなストーリーか?一言で言えます。「昭和33年の日本」というストーリーです。

泣けてしまう人には泣けてしまう。スクリーンを前にして、この夕日町3丁目の住人に貴方がなれれば、それはきっと泣けてしまうこと沢山。一方、この町の住人になれなかったら、なかなか泣けないことばかりかも。

でも、この映画を観ようと思ってスクリーンに足を運んだのならば、その段階で夕日町3丁目の住人になろうとしている姿勢がきっとあるはずですよ。この僕の書いてる文章なんかで気になったのなら、なおさら。ちょっとした気持ちで泣けてしまいます。

監督は最先端VFX畑出身の山崎貴監督。最初から最後まで完璧に個性を生かした監督振りです。つまりは、特殊効果のスペシャリストだからこそ、特殊効果っぽくないのです。映像の中で何も、浮いてない。この完成度は実写ですよ。なのに、現実にはありえないカメラワークで最初のカットから引き込まれてしまいます。いわば、監督の自己主張。それがいい雰囲気で表れてる。あの、現実にはありえない、扉の隙間を通り抜けてバックして行くようなカメラワークがなければ、一切、特殊効果と気づかないまま見終わってしまう場合も。山崎監督だからこそ完璧に完成し得た作品と言い切れましょう。

演出も最高の一言。最後まで、期待を裏切らないで演出されてます。さらには、柔らかいストーリーを裏切りそうに見せかけて、その上の柔らかい演出で余計に泣かされてしまいまいました。凄い監督だ。

そんな最先端技術の申し子監督、

特殊効果のスペシャリストが選んだ題材が、未来、ではなく、過去。

昭和33年、それがこれからの未来に必要なものだから選んだんじゃないかな。つまりは、現在、今、僕たちに欠けているもの。はっきりと物事を見る事の出来る目を持った監督なんだろうなー。

この映画、上映時間が2時間20分と、長いです。でも、長くない。短く感じる。もう一回味わいたいと思わせてくれる。そして、サンタクロースになりたくなる。

色々な種類の優しさを感じることが出来ます。そして優しくなれます。この映画のCMで、「優しくなれました」という観客の声が流れていたけど、ホントにそう。優しい人でありたいと思わせてくれる。映画でここまでのカタルシス、心の浄化作用を可能にしてしまうとは・・・。この映画を味わった後に残るのは、感動より、心の浄化なんですよ、この映画。

先日、今年の音楽でのベスト1アルバムを選んだけど、今年最高の映画はコレだなー。

asayake003 終演後、この映画に出てきそうな焼き鳥屋さんをわざわざ探して、三浦友和さんの演じるアクマこと、宅間さんが横に座ってる気分で日本酒を飲んでしまいました。ちょっと外見は赤提灯が派手だったけど、店内では、ただただ映画を思い出しながらいい雰囲気で焼き鳥と日本酒を、映画をつまみに味わえた。そして、どうしたらサンタクロースになれるのかを考えた。

一夜明けて、今朝、出勤が早かったのだけど、3丁目の夕日ならぬ、綺麗な朝焼け。信号待ちで、急いで撮影したからブレブレだけど、なんだか昨夜の映画の気持ちを高めてくれちゃいました。バックミラーに映える、小さな朝日がこの空の色を、街の色を創り出して、僕の心まで明るくしてくれたよう。

asayake007 asayake006 asayake004 asayake005

この映画を応援したくなりました。そんな映画って、今までなかったなー。

先日17日、男性から女性に、女性から男性に、クリスマスに期待するプレゼントの金額平均が発表された。4万いくら・・・云々。色々なメディアが話題で取り上げていたけど、それがばかばかしく思えた。「貴方はどんなサンタクロースになりたいのか」そんなアンケートにしたほうがいいよ。少なくとも、僕の番組ではそうしよう。

|

« 2005、今年の一枚は! | トップページ | 根底で平等なのは »

コメント

 日本映画、本当に素晴らしい作品がたくさん出てきていますね。そして、しんちゃんの感受性、文章の表現力も、天性のものですねー。朝焼けの写真はまさに「永遠の瞬間」。思わず、スクロールダウンする手を止めてしまいました。
 いつも、日本に帰ると日本映画撮影監督協会に顔を出すのですが、みなさん、本当にいい表情で日本映画を盛り上げている姿に、元気をいただきます。しんちゃんも足を運ばれたであろう、NFT(Southbank)や他のミニシアターも日本映画を上映するのですが、新作は国際映画祭で受賞歴のある監督作品が多し。ロンドン映画祭でも、似たような感じで、歯がゆいばかり。
 また、いい映画鑑賞されたら、教えてくださいねー。

投稿: Ryo | 2005/11/22 20:15

映画『ALWAYS 3丁目の夕日』私も見てみたいと思っていた映画です☆
しかも何駅か先のワーナーマイカルシネマへ(^m^)
この映画はCGと合成していてすばらしい作品らしいですよね♪
女性の特権を使ってレディースデーに行こうかと思っているので、
明日観に行けたら行ってみようかなぁ…

投稿: arisa | 2005/11/22 23:05

映画見るの大好きでけど、最近は見に行ってません。泣
真善さんの書いた文章を見て、とっても見に行きたくなりました。
私の生まれるもっと前の過去のお話…どんなのだろう…。私もお客さんの一人として昭和30年代の世界観を味わってみたいな。
感動することが少ないこの頃、心から感動の涙を流してみたいです。

クリスマスですね。
私も誰かのサンタクロースになりたいです…お金などの形あるものなく、感動や優しさ、幸せなんかといった素敵なものを人に伝えられる存在になりたいです。

投稿: のんちゃん | 2005/11/22 23:24

Ryoさん、このDVDが出たら、購入しますから、帰国の際にはご連絡ください。堪能してください。なんだろう、今までになかったジャンルの映画です。というかジャンルではなく、幼かった頃のアルバムを開いてみて見るかのような感覚。でも、その時に改めて親の愛情を感じてしまって涙が浮かぶ。そんな印象に近いです。専門家に対して、こんな意見でいいのか、恐れ多いですが・・・。

arisaちゃん、この前は心配有難うです。その心配の素に対応してることで精一杯で・・・。
明日、ぜひ足を運んでください。僕の言いたいことが、分かっていただけることと確信しております。少なくとも、レディースの1000円、これが明後日からの生活での、優しさへの投資ならば、莫大な利益を生む事になるでしょう。それは保証いたします!

投稿: 岡田真善  | 2005/11/22 23:30

のんちゃん、昭和30年代の世界観を味わいに行くと、その時にはあって、今僕らが忘れてしまったような普遍的な大切なものを見つけられることと思いますよ。でも、僕らが忘れたのではなくて、ただ必要とされなくなったのかも知れません。だけれど、必要とすることで、また生まれる大切なものなんじゃないかなと。
出来ることならば、必要とし、大切な感覚として忘れたくないものです。

投稿: 岡田真善  | 2005/11/22 23:35

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: どんなサンタクロースになりたい?:

« 2005、今年の一枚は! | トップページ | 根底で平等なのは »